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主力製品の進化を担うという責任と醍醐味 火星人CN700 開発ストーリー

レオン自動機の歴史を作ってきた
包あん機「火星人」シリーズの
さらなる生産の合理化と製品の重量精度を
アップデートせよ。

そんな困難なミッションに挑んだ2人の開発者と、
彼らを支えたテスト担当者の姿を追う。

メンバー紹介 PROJECT MEMBER

  • Y.S

    Y.S

    開発設計部 電気1課

    2002年入社

  • H.O

    H.O

    開発設計部 機械1課

    2008年入社

  • I.S

    I.S

    技術サービス部 研究1課

    1988年入社

EPISODE-01

圧倒的シェアを誇る
主力商品の機能を
改善するというミッション

“火星人”、この奇抜な名前を冠したレオンの包あん機は、1987年のリリース以来、長きに渡り多くの和菓子、洋菓子、調理食品製造業者から支持を集めてきた。今では世界126カ国にまで広がりを見せている。その圧倒的シェアを誇る“火星人”シリーズの最新バージョン「CN700」の開発を担当するのが、Y.SとH.Oだ。

トップランナーといえども立ち止まってはいられない。圧倒的シェアを維持するためには、常に進化が求められる。

Y.S

Y.S

「合理性を求める欧米のお客様から、回転数を上げて安定生産ができるようにしてほしいという要望は以前から上がっており、クッキー類は1分間に100回転の高速生産に対応しておりました。しかし、繊細な和菓子などは品質を重視して、1分間に60回転を上限としておりました。国内のお客様から高速生産への要望が増えたこともあり、当社としてもこの課題にチャレンジする必要があると考え、今回は85回転を目標としました。」

包あん機「火星人CN700」の調整をする男性社員たち

もちろん、回転数を上げるのは、それほど単純ではない。扱う素材も様々で、その特性に合わせたシャッターの動きと上下コンベヤーの動きで包あん成形をするのだが、そのタイミングがずれると顧客の望む形状の製品ができない。

Y.S

Y.S

「当然、回転数が変わると、シャッターとコンベヤーのタイミングを合わせる必要があるのですが、シャッターでの切り出しタイミングを調整することがとても重要でシビアなのです。」

上下コンベヤーの動きとシャッターの上下を連動させる制御を行うだけなのでは?と思われがちだが、実はそのタイミングをあえてずらして使用するケースもあり、制御が複雑なのだ。

Y.S

Y.S

「“火星人”が、様々な物性を持つ素材に対応できるのは、多種多様な調整パターンを可能としているからです。1パターンの制御では、対応できる製品が限られてしまいます。」

※「シャッターと上下コンベヤの動き」イメージ

EPISODE-02

トライアンドエラーを繰り返し、
理想に向かって地道に歩んでいく

生産能力を上げるには、回転数に対して適正な切り出しタイミング、およびシャッターを閉じるスピードを割り出し、それを計算式に置き換えて制御する必要があった。

Y.S

Y.S

「ところが理論値を見つけるのが非常に困難でした。例えば10回転のときのシャッターの切り出しとスピードから60回転のときの設定を割り出すことができても、実際にはその通りにならない。要するに直線性がないのです。だから計算式が作れません。」

そこでY.Sが考えたのは、実際にテストを行いながらデータを取得。プロットした測定値から傾向を分析し、割り出すという手法だった。

Y.S

Y.S

「モーターの速度をメモして、それをグラフにしたときどのような計算式になるのかを分析していきました。もちろんぴったりにはならないので、近似値を出して傾向を考えます。地道にデータを取るしかありませんでした。」

プロットされたデータの傾向にバラつきはなかった。そこから割り出した計算式を用いて制御プログラムを変更。その後、テスト機を用いて実際に回転数を変えながら試運転を行うことで確認ができた。

Y.S

Y.S

「シャッターに関してはうまくいきました。さらに製品を受ける上下コンベヤーをシャッターの動作に合わせて電動式に変更。メカ的なカム制御から電気的なカム制御に変わりました。1mmのずれも許されない制御が求められるため、様々な見地から周囲と相談しながら開発を進めました。」

回転数が上がれば、重量精度の問題も付きまとう。切り出したひとつひとつの製品の重量差を限りなく小さくする、H.Oはメカ的な観点から新たなチャレンジをすることにした。

H.O

H.O

「製品ひとつひとつの重量の精度の向上と、生地にダメージを与えないという目的で、サイクロイド式素材送り機構を採用しようと考えました。従来品と違って2個のローターが回って定量を測り、送り出しています。」

重量精度の向上は、常につきまとう課題だった。もちろん、現行機のバラつきが大きいわけではない。

H.O

H.O

「1日何万個もの製品を生産すると、ひとつあたりのわずかな重量のバラつきが数十キロの材料の差異となる。トータルでみると大きな数字になります。少しでも精度を上げることで、お客様の歩留まりがよくなるので、重量精度を向上させるにはどうすれば良いかを考え続けています。」

話し合いをする男性社員たち

実は以前に、サイクロイド式素材送り機構の検討が進められたこともあった。しかし、当時は理想的な吐出量が実現できたわけではなかった。Y.SやH.Oと共に、繰り返しテストを実施してきたI.Sはこのように語る。

「そういった意味でも、今回はまさにリベンジ開発。さらに以前は、ある特定の素材に限った機構として考えましたが、今度は、あらゆる性質の素材に対応しなければならない。難易度の高い開発となりました。」

I.S

I.S

以前に開発したサイクロイド式素材送り機構をそのまま搭載しても、素材の種類によってバラつきが生じていたとH.Oは言う。

H.O

H.O

「“なぜ良くないのか?”を特定するためにテストを実施。原因を考え、変えてみる。そして試作して試してみる、の繰り返しでした。その中でローターの形状を変えることで課題を解決。テスト部品は3Dプリンターを駆使したので、比較的スピーディに開発を進めることができました。」

部品同士の隙間や形状、入口の広さや出口の流れやすさなど、いくつもの条件を組み合わせながら最適な解を求めていくうえで、テストは重要な過程であることは間違いない。スピーディで正確、そして的を射たテストが開発者を支えている。

「蓄積された経験値の中から掴んでいる、テストセオリーのようなものが知見として蓄積されています。だからこそ、比較的早く、解を見つけることができたと思っています。これも開発担当者とテスト担当者の良好なチームワークの結果と言えます。」

I.S

I.S

そして、開発者がテストに関わっていくことに意義があると述べる。

「機械設計担当も電気設計担当も、生地を自身で作ってテストにも携わり、最終製品の種類や物性も理解しているがゆえに、設計に活きるという部分があります。個人的にも、それが当社の良いところだなと思いますし、設計する際にとても重要なのだと感じています。」

I.S

I.S

包あん機「火星人CN700」

EPISODE-03

伝統ある機械を守るというより、
この機械を広めていこうという
気持ちの方が強い

Y.SとH.Oが中心となり、I.Sのサポートを受けながら開発を進めた結果、1分間に60個から85個に生産能力がアップ。重量精度も従来品に比べて20%向上。さらに現行機よりも約30%のエネルギー効率アップも達成。これにより生産性と経済性の両面から、環境課題である食品ロスに貢献、脱炭素社会への貢献につながった。

「直接、お客様からの声をお聞きする機会はそれほど多くはないのですが、発売前に懇意にしていただいているお客様に使っていただいたときに、『今使っている火星人よりも豆大福の豆のつぶれが少ないし、生産能力も上がっているので、稼働時間も短くなって働きやすくなりますね』という評価をいただきました。お客様の生産性に貢献できるのはメーカーとして非常に嬉しいですね。」

I.S

I.S

今回のプロジェクトを経験した、Y.SやH.Oにとっても、学びや気づきが多くあったという。

Y.S

Y.S

「今回に限ったことではないですが、ひとつの機械が完成するまでは、担当の開発者が最初から最後まで携わります。機械に対する愛着も生まれますし、機械のことをすべてわかっているという満足感もあります。また、企画から機械の完成まで担当しているからこそ、自分で考え、新しいことを積み上げて達成する面白みもあるのではないかと感じています。技術が蓄積され自分の能力が上がるので、世の中の動向に合わせながら新たなチャレンジができるのです。」

H.Oも、1台まるまる任されたことでメカに関わるより多くのことを学んだという。

H.O

H.O

「1台の機械を構成する部品はかなりの数があるため、板金、鋳物など、ものづくりの知識はかなり幅広く、そして深く身に付きます。また機械を作ったあとテストも一緒に行うことが多く、結果がどうなったかまで一連の流れを見ることができるのも良い経験になりました。」

包あん機「火星人CN700」

伝統ある主力商品の開発を任され、その進化の過程を担っているY.S、H.Oの目に、今回のプロジェクトはどのように映ったのだろうか。

H.O

H.O

「正直言って、かなりプレッシャーがありました。“火星人シリーズ”はメイン商品なので、今回のバージョンアップの成果が、会社の売上に直結する。そんな覚悟を持って臨んだのは確かです。この機械は大手メーカー様から街の製菓店様まで使ってもらっていて、その最終製品は世界中の様々な人が食べています。改めて言うまでもなく、食べることは人間の生活にとって非常に重要な行為です。そんな大きな役割を担っているという点でも責任とやりがいを同時に感じています。」

Y.Sは、レオンの主力商品の開発を預かるにあたり、機能を追加するだけでなく拡張性も意識する必要があると述べる。

Y.S

Y.S

「以前はメインとなる制御機器を、レオン専用で作っていました。私が入社した当時、プログラムにC言語を使っていたのですが、そのままだと属人化してしまう恐れがあると考えました。そこで、FA(Factory Automation)業界で使われている汎用性のある制御部品を用い、属人性の回避と拡張性を両立しました。」

伝統的な製品だからといって過去に縛られる必要はない。常に新しい技術要素を取り入れてこそ、愛され続ける製品が供給できる。

H.O

H.O

「伝統ある機械を守るという意識よりも、この機械をこの先、広めていこうという気持ちの方が強いです。この火星人をより使いやすく、より能力を高め進化させ続ける、それが私たちの役割だと自覚しています。」

「火星人」という主力製品の機能向上という
ミッションを通じ、
エンジニアの“思い”が過去から現在へと
つながっていく。

その情熱の連鎖がレオン自動機の未来を
創っていくのは間違いない。

包あん機「火星人CN700」と男性社員たち

火星人CN700 動画コンテンツ

新型火星人CN700の
実際の動く様子や、製造できる食品など
詳しくはこちらの動画をチェック!

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